
木質バイオマスボイラーを導入するにあたって、留意が必要なポイントをまとめました。
| ボイラー導入の手順 |
ボイラー導入の代表的な手順は、以下のようになります。

| ボイラーの選定 |
ボイラーの選定にあたっては、導入対象の規模と燃料の適合性を考えることが重要です。
ボイラー規模と燃料の適合性は、以下のようになります。導入する施設の規模や使用する燃料に合った、ボイラーの選定を行いましょう。
特にチップや木くずは、含水率が大きなポイントになるため、使用する燃料の性状をしっかりと把握した上で、ボイラーを選ぶことが大切です。

従来の化石燃料ボイラーの場合、ピーク負荷にも対応できるよう、余裕を持たせて規模の設定を行います。
しかし、木質バイオマスボイラーは、化石燃料ボイラーと比較して高価であるため、既存の化石燃料ボイラーと同規模のものを導入した場合、導入設備費が高額になり、必ずしもピーク負荷に合わせた規模で導入を行うことが最適とは限りません。
また、木質バイオマスボイラーには、瞬間的な熱需要の変動に対するレスポンスが遅いという特徴もあり、ベース負荷を木質バイオマスボイラーでまかない、既存の化石燃料ボイラーによってピーク負荷をまかなう、ハイブリッド型システムにしたほうが、コストパフォーマンスが高く、合理的な場合もあります。
| 助成制度の活用 |
木質バイオマスボイラーは、化石燃料ボイラー(灯油ボイラー、重油ボイラー等)に比べて高価になります。そのため、木質バイオマスボイラーを導入する際に利用できる助成制度が設けられています。
ボイラー導入を行う際には、このような助成制度を活用することも、初期費用を有利にするためのポイントとなります。
| 木質バイオマスボイラー利用の関係法令 |
木質バイオマス燃焼機器を導入する際には、法律・条令、その他の規制が関わってくるため、該当する場合には許可の取得や届出を行い、規制を遵守する必要があります。
木質バイオマスボイラー導入に関わる主要関連法規についてまとめました。
| 木質バイオマスボイラー導入に係る主要関連法規 | ||||
| 番号 | 法規の名称 | 施設の種類 | 許可/届出 | 許可届出の必要な規模 |
|---|---|---|---|---|
| (1) | 大気汚染防止法 | ばい煙発生施設 (ボイラー) |
届出 | 伝熱面積10m2以上、またはバーナー燃焼能力重油換算50L/h以上 |
| (2) | 消防法 | 火気使用設備 貯留倉庫 |
届出 | ・ボイラー設置 ・指定可燃物の貯留10m3以上 |
| (3) | 労働安全衛生法 | 小型ボイラー | 届出 | 貫流ボイラー伝熱面積5m2超え10m2以下 |
| (4) | 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 | 小型焼却炉 ※1 | 許可 | 焼却能力200kg/h以上、または火格子面積2m2以上 |
| (5) | ダイオキシン類対策特別措置法 | 小型焼却炉 ※2 | 届出 | 焼却能力50kg/h以上、または火格子面積0.5m2以上はダイオキシン類排出基準の適用 |
| (6) | 建築基準法 | 建築物に設ける煙突 | - | 許可・届出の必要はないが構造基準有り |
| ※1 廃棄物処理施設扱いとなった場合に適用 ※2 日本工業規格B8201及びB8203の伝熱面積の項で定めるところによる |
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(1) 大気汚染防止法
木質バイオマスボイラーを導入する際に、大気汚染防止法上の「ばい煙発生施設」に該当すると、規制対象となります。
| 大気汚染防止法施行令におけるばい煙発生施設の該当基準 | |
| 種類 | 規模 |
|---|---|
| ボイラー(熱風発生炉を含み、熱源として電気又は廃熱のみを使用するものを除く) | 総理府令の定めるところにより算定した伝熱面積 (以下、単に「伝熱面積」という)が10m2以上であるか、又はバーナーの燃料の燃焼能力が重油換算50L/h以上であること。 |
ばい煙発生施設に該当する場合には、必要書類をそろえて都道府県知事への届け出を行います。その際に該当するとされた規制対象物質については、規模に応じて年間に定められた回数でばい煙の測定を行い、規制基準を遵守する必要があります。
木質バイオマスボイラー設置時に該当するばいじんの規制基準、窒素酸化物の規制基準は、以下になります。
| 大気汚染防止法施行規則におけるばいじん排出基準 | ||
| 施設名 | 規模 | 排出基準 |
|---|---|---|
| 固体燃焼ボイラー | すべての規模 | 0.3g/m3N(O2 6%換算) |
| 大気汚染防止法施行規則における窒素酸化物排出基準 | ||
| 施設名 | 規模(最大定格排出量) | 排出基準 |
|---|---|---|
| 固体燃焼ボイラー | 40,000m3未満 | 350ppm(O2 6%換算) |
硫黄酸化物については、純粋な木質燃料にはほとんど含まれませんが、測定を行う必要があります。木質バイオマス原料に薬品等の不純物を含まない限り、問題はありません。
必要なばい煙測定回数は、以下になります。
| ばい煙測定回数 | |||
| 項目 | 施設 | 規模(最大定格排出量) | 測定回数 |
|---|---|---|---|
| ばいじん | 木質バイオマスボイラー | 40,000m3/h未満 | 年2回以上 |
| 窒素酸化物 | ばい煙発生施設 | 40,000m3/h未満 | 年2回以上 |
| 硫黄酸化物 | ばい煙発生施設 | 10m3/h以上 | 年2回以上 |
※都道府県ごとに定められている条例により、「ばい煙発生施設」の規制や騒音規制法が定められています。以下は、東京都の事例になります。
1.環境確保条例
「ばい煙発生施設」東京都では、一定の基準を満たすボイラーに対して集じん装置を設置するよう義務付けています。
| 集じん装置を設置するばい煙施設等(規則別表第3) | ||
| ばい煙施設の種類と規模 | 区分 | 集じん装置 |
|---|---|---|
| ボイラー(伝熱面積が5m2以上のものに限る。) | 木屑(くず)を燃料として使用するもの | 遠心力集じん装置(マルチサイクロン方式のものに限る。)又はこれと同等以上の性能を有するもの |
| ※日本工業規格(以下「規格」)B8201及びB8203の伝熱面積の項で定めるところによる。 | ||
2.騒音規制法(環境確保条例)
ボイラー施設において、送風ファンの能力(原動出力7.5kW以上)により騒音規制法の対象となる可能性があります。この場合、地域により定められた騒音基準を遵守する必要があります。また、条例にて上乗せ基準が定められている場合があります。東京都の環境確保条例では、騒音規制法より小さい原動機出力0.75kW以上のものに対しても規制を設けており、該当する場合に、規制基準遵守が求められます。
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(2) 消防法
ボイラーを設置する場合、能力に関わらず消防署への設置届けが必要です。燃料がチップの場合は、指定可燃物(木くず)とされ、10m3以上のチップを保管する場合には、指定可燃物取扱届出が必要となります。さらに、この燃料には保管と取扱基準が定められています。
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(3) 労働安全衛生法(ボイラー及び圧力容器安全規則)
労働安全衛生法では、ボイラーの種類や規模により必要な手続きが異なります。簡易ボイラー(伝熱面積5m2以下)を設置する場合は特別な手続きは不要です。小型ボイラー(伝熱面積5m2超え10m2以下)を設置しようとする場合は、設置届を労働基準監督署長に提出することが必要です。
伝熱面積10m2を超えるボイラーについては設置届を労働基準監督署長に提出し、さらに落成検査を受けることが必要です。また、その運転には有資格者(伝熱面積10m2超え30m2未満の場合はボイラー取扱技能講習修了者)が必要です。ただし無圧式のボイラーであれば、労働安全衛生法のボイラーに該当しないため、手続きは不要です。

| 労働安全衛生法におけるボイラーの分類ごとの届出方法 | |||||
| ボイラー種類 | ボイラー取扱者 | ボイラー取扱作業主任者 | 届出 | 検査 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 簡易ボイラー | 資格の必要なし | 選任の必要なし | 届出の必要なし | 特に指定なし | |
| 小型ボイラー | 小型ボイラー取扱業務特別教育の受講者 | 選任の必要なし | 労働基準監督署 (設置後) |
- | 定期自主検査 (1回/年) |
| 小規模ボイラー | ボイラー取扱技能講習修了者以上 | ボイラー取扱技能講習修了者以上 | 労働基準監督署 (設置前) |
落成検査 | 性能検査 (1回/年) |
| ボイラー | ボイラー技士 | ボイラー技士 | 労働基準監督署 (設置前) |
落成検査 | 性能検査 (1回/年) |
| ボイラーの維持管理 |
木質バイオマスボイラーを使用する際には、点検やメンテナンスが必要となります。
まず、日常的に点検が必要となるのは、以下の項目です。
| ボイラーの日常点検項目(例) | |||
| 点検・清掃項目 | 頻度 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 燃料用サイロ | 毎日 | 残量確認 | サイロがある場合 |
| オイルタンク | 毎日 | 残量確認 | ボイラーに付属の場合 |
| サイクロン集塵機 | 3~7日に1回 | 灰取り出し | ボイラーに付属の場合 |
| 炎探知機(フレームアイ) | 月に1回 | 清掃 | |
| 煙の状態 | 毎日 | 確認 | |
| 缶圧力計の指示 | 毎日 | 確認 | |
| 水面覗窓の水位 | 毎日 | 確認 | |
| 消火用水タンク | 毎日 | 充填確認 | |
また、使用状況によって回数は異なりますが、定期的なメンテナンスも必要となります。
定期点検は、最低でも年に1回は必要です。実際には、年に1~4回程度の定期点検契約を行う場合が多く見られます。
定期点検の主な項目としては、以下が挙げられます。
| ボイラーの定期点検項目(例) | |||
| 点検・清掃項目 | 頻度 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 燃焼装置 | 年に1回 | 点検・清掃 | |
| 煙管 | 3ヶ月に1回 | 清掃 | |
| 燃焼炉本体 | 年に1回 | 清掃・点検 | |
| 安全装置・各種センサー | 4ヶ月に1回 | 確認 | |
| 燃料供給スクリュー | 年に1回 | グリースアップ | 自動供給の場合 |
| 各部消耗品 | 年に1回 | 摩耗点検・交換 | |
| 消火用水タンク | 毎日 | 充填確認 | |
長くボイラーを使っていくためには、定期的な点検やメンテナンスを欠かさないようにしましょう。